保肥性 → ウ)

保肥性とは、肥料もちのよさのことです。ほとんどの植物は、養分を十分含んだ土で健全な生育をします。

どの程度の肥料分が必要かは植物によって違います。たとえば、アサガオのようにたくさん花を着ける植物、野菜、くだもののように実を育てなければならない植物は十分な肥料を与える必要があります。しかし、山野草のようにあまり肥料を与えないほうがよく育つ植物もあります。

肥料の与え方にも、目的によっていくつかのやり方があります。

あらかじめ土に肥料を混ぜれば、土は肥料分を含むことになります。これを「元肥(もとごえ、もとひ)といいます。

植物の旺盛な成長期には、即効的に「液肥」を与える必要のある時期があります。液肥は、用土が保水性のある団粒構造の土であれば土の隙間に十分保持されます。

一方、元肥が切れる頃から、土に持続的に肥料分を補給する意味で、土の表面に固形・顆粒・粉末の肥料を置いたり埋めたりする与え方があります。これは水やりのたびに溶けだすしくみになっており「置肥(おきごえ、おきひ)といいます。

この液肥や置肥を「追肥(おいごえ、ついひ)といいます。元肥も追肥もいい株をつくりまた花を咲かせるためには、欠かすことができないものです。

肥料は基本的にチッソ)、リン酸)、カリウム)の三要素を一定比率以上含むものをいい、普通に園芸店などで売られています。肥料には、自然物(動植物の遺体やフン)を利用して作られた有機質肥料と、化学的に合成された無機化学肥料(または単に、化学肥料)があります。化学肥料でNPKのうち、2種類以上を含むものを、特に化成肥料といいます。

チッソは葉や茎を育てますが、多すぎると根腐れ・着花不良・病虫害の障害を引き起こすことになるので、注意が必要です。

花や実を目的とする植物にはリン酸の多い肥料を与えます。リン酸は根が出す根酸で分解されてはじめて吸収されるので、与えすぎによる障害はあまりありませんが、液肥などでは濃度の濃いものは不適当です。また、リン酸肥料は、土壌が中性~弱酸性の状態で最もよく効き、土壌が酸性に傾くと根に吸収されにくい形になってしまいます。

カリウムは根や植物体を強壮にし、病害虫に強い株を育てます。ただ多すぎると、花や葉はこわばり、野菜や果実は筋張ってかたくなることがあるのでこれも適量を与えたほうがよいでしょう。

これらのN、P、Kを肥料の三要素といいます。

土に混ぜる肥料は、化成肥料でも、有機質肥料でもよいと言われますが、土壌障害を減らし、また、土壌生物の生息しやすい環境を維持するために、有機質肥料を積極的に取り入れていくことをおすすめします。

化学肥料を多用しすぎた土はチッソ過多になりやすく、傷みが早くなります。以前、土壌消毒に化学チッソ肥料を利用していたことで分かるように、チッソ成分が化学反応を起こすと、土壌動物を殺傷するほどの有毒ガスが発生します。これが、植物の根も腐らせるのです。

化成肥料は成分を化学合成して作ったもので、顆粒、粒状、粉末など様々な種類で売られています。化成肥料には、コーティングが施されていて、おだやかに長期間効く工夫をされているものもありますが、多用、常用すればどんなものでも土壌を傷みやすくすると考えた方がよいでしょう。

有機質肥料は、油粕、魚粉、牛フン、鶏フン、コウモリフン、骨粉、草木灰など、自然界の生物を原料として作られた肥料で、よく熟成させたものを使用する必要があります。未熟なものはかえって植物に害となる場合があります。
有機質肥料は有用バクテリアの巣となってカ)キ)の条件を満たし、効き目もおだやかな点、植物にも土にもやさしい、理想的な肥料といえます。また、有機質肥料は、化学肥料と違って成分が単純ではなく、植物の生育に必要な微量成分も含まれています。

土壌生物の生息しやすい、生きた土を作っていけば、土壌は健全な状態をいつまでも保ちます。これによって園芸作業の手間も軽減されます。

有機質肥料はにおいがあるということで敬遠されてきた一面がありますが、化学肥料もにおいがないわけではありません。とくに、肥料過多で植物が育たなくなった土のにおいをかいでみると、異臭があることに気付くでしょう。逆に土壌中で適切に分解されていった有機質肥料は、思ったほどにおいがしなくなります。

植物の生育上必要な養分には、N、P、Kのほかに、カルシウムやマグネシウムなどの塩基類、また、微量要素があります。これらは新陳代謝、発根などに作用するホルモン類、光合成を行う葉緑体などに作用する大切な養分です。これらは肥料とはいいませんが、植物や土壌には必要な養分です。

腐葉土や堆肥は、土中で分解されれば多少は養分になりますが、植物の生育に見合うほどではありません。あくまでも土壌改良要素として考えたほうがよいでしょう。ただし、ハーブや山野草ではそれで十分なものもあるようです。