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下に2点の画像があります。一方は青々として元気がよく、もう一方はしおれぎみでイモムシにもかなり食べられ、哀れな姿になっているのが一目瞭然です。この2つは、同時に播種したもので、用土の配合、肥料のやり方、水やりもまったく同じ条件で育てられたものです。ただ、この生長の差が生じたのには、1つだけ違う点があります。 播種は5月中旬(適期は3月下旬~4月)でいっせいに播き、発芽後4~6葉になってから、2つの60cmプランターに移植しました(1個所当たり3~4株を、3個所ずつ)。その後、液肥を与えて育てたところ、7~10葉あたりで、根が地表に現れるくらいに伸び、このまま育てても倒れてしまうので、根を埋める作業が必要となりました。 時期は暑さが厳しい8月の初旬で、土も乾きやすい状態でした。一方のプランターは、土を足して根元に寄せ、盛り上げただけですが、もう一方は、この時期としてはかなり無理ながら、株をいったん掘り上げ、穴を掘り直して深植えし、さらに土を少し足して株元に寄せました。いずれのプランターにも、たっぷりと灌水しました。さていったいどちらが正解だったかということです。 いったん掘りあげる(後者)ということは、根の先端を切ってしまい、傷めることになります。吸水が悪くなってしおれぎみになることは火を見るより明らかでした。しかし、その後、気温が低めの日が続き、ぐんぐん生長したのは、この無理な植えなおしをしたほう(左画像)でした。 確かに、いったんは枯れる寸前までぐったりしましたが、しおれたり枯れたりした葉をすべて取り除き、根の状態にあわせて生きた葉を残し、地上部をコンパクトに整理しました。もちろん、この作業は、もう一方の土を足した方でも多少行っています。 <ポイント>この、植え直すという作業は、2度目の「移植」に相当します。 種まきから植物を育てる場合、移植を嫌う直根性の植物以外は、「移植(植え広げ)」が、その後の植物の生長のためにたいへん重要な作業になります。 通常移植は、株の密度をみながら2~3回行います。よく移植の理由は、日当りをよくするとか、通気をよくして病気を防ぐとか説明されますが、このほか、根に多少のストレスを与えて発根を促すという重要な目的があることを知っておくとよいでしょう。 発芽後の育苗期の植物は、たいへん強い生長力を持っています。ですから、根の先端が多少切れても、切れた所から何本もの根が生えてきて、よく分枝し、結局、根の本数が多くなるのです。 移植の仕方にもコツがあります。 根の量が多くなると、吸水量が多くなって土に含まれる水分を効率よく吸収するようになります。夜間、土にしみた夜露を吸収する量は当然、根が多い方が多くなります。その結果、根が保持する全体の水分が多くなり。上の画像のように、多少、土が乾いた状態でもしおれなくなるのです。地上部は根の生長にあわせて大きくなります。それが画像に見られる違いとなって表れるのです。 よく、移植時には根を傷めないようにていねいに扱いなさい、という人もいるらしいのですが、これは大まちがい。多少なら傷めて結構です。長すぎる主根は切ってしまってもいいくらいです。ただし、若い、生長力のある、直根性以外の植物に限ります。 ていねいに過ぎる扱いはかえって植物のためにならないということです。イネなどもそうです。田植え後、強い風に吹かれて多少ストレスを受けたもののほうが、生長がよくなるようです。麦も、苗の時期に踏みつけられたものがよく育ちます。 <虫の害にも耐える>ブロッコリーは特に蝶や蛾にやられやすい野菜です。この株も例にもれず、蝶がさかんに卵を産みつけにきており、その後の幼虫(アオムシ)の発生は、はなはだしいものがありました。 発生期からはニームの300倍液を3日間、1日に1回、毎日散布処理しました。効果が見え、アオムシが縮こまって、もう大丈夫と確信できるまでやはり3日はかかりました。その間、多少の食害は受けます。アオムシは孵化後の成長が早く、大きいもので3cmぐらいになっているものもありました。このくらいになると、通常では食害量も相当になります。(ニームを散布すると、食害量が減るか、まったく食べなくなる虫も出てきます。) アオムシの数はほぼ同じ程度でしたから、食害される量も同じです。ということは、同じ量を食害されるなら、植物は生長の悪いの方が被害が大きいということです。移植をしていない右画像ではほぼ葉脈だけになった葉が目立ちますが、移植をしたほうは数倍に生長しているため、被害が少なくなっています。この程度ならその後の生長に支障はありません。右のほうは、葉が少なくなったのと、根張りがよくないことで、まともに生長しないか、成熟までに時間がかかることが予測されます。 9月以降は、秋播き植物の播種のシーズンです(春まきが可能な植物でも、秋に播いて越冬させたほうが春以降の成果がよくなります)。また、病虫害と闘う時期となります。でも、移植をはじめ、栽培の基本をちゃんと押さえておけば、病害虫に強い植物に育てることができ、また、ニームオイルのような自然素材も、利用価値が高まってきます。 ニームオイルは、育苗期から予防的にマメに散布していれば、好結果が得られることがわかっています(この場合、500~1000倍の倍率でよい)。また、ニームオイルはほとんどが植物体に含まれる油脂成分であるグリセライドであり、原料が種子であるだけに、生育に必要な養分も含まれています。このため害虫防除だけでなく生長促進も期待できます。ただそれらも、植物栽培の基本と、植物本来の生命力を引き出す生育環境の整備がなければ、何の意味もないということをもう一度確認していただきたいのです。 [参考] (2001.8.18) |
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