|
前回の掲載から、またも4カ月が過ぎてしまった。連載としては間が長すぎたようで、何名かの視聴者の方から、後続記事をお願いします、というご意見を頂戴した。身辺に火急の用が発生し、記事に手がつけられなくなった。楽しみにしていただいているところを先送りにせざるを得ず、心苦しさを覚える日々だった。皆様にはこの場を借りてお詫び申し上げます。 さて、本題に入る。 筆者が到達した、使用済み園芸用土のトリートメント法をご紹介していくことになっていた。じつはこのブランクの間に筆者は、市民活動の一つとして、地元のボランティアセンターとNPOとの共催による「ぐりーんセミナー」と銘打った市民講座を4回にわたって開催した。ここでも今回掲載するのと同じことを、実演込みでお話をさせていただいた。その内容をまとめていくことになる。 土には古いも新しいもない。植物が普通に育たなくなった土は「死土」と呼ぶべきであり、古さとは関係ない。篤農家たちが長年かけてつくり上げた畑はどうだろうか。彼等は何年たってもそれを「土」と呼ぶのであって、けっして「古土」とは呼ばない。「生きた土」はけっして古くはならない。なぜなら、それは常に「生きている」から。 土には、多くの微生物や小動物が棲んでいる。それらが様々に活動し、エコシステムをつくっているその結果として植物が生きやすい環境がおのずとでき上がっている。その微生物や小動物を絶やさず、増殖させることのできる土を「生きた土」と呼んでほぼ間違いないだろう。 園芸でも農業でも、多くの場合、集約的に植物の栽培を行えば、様々な理由で土は条件が悪化し、植物が育ちにくくなる。しかし、それはけっして「死土」ではない。必ず100%使い回すことができる。それを「死土」であるかのように勝手に判断し(あるいは判断させられ)、結局捨ててしまう。それが「園芸廃土」で、消費者が商業主義に乗せられるとどんどん増えていくというわけだ。そして社会問題にまで発展しつつある(特に都市部)。 ところで、「廃」はきわめて人為的、主観的な意味である。「古」は「廃」を発想をしがちで、筆者は好きではない。せめて「使用済み園芸用土」と呼ぶことにする。それを再生(=トリートメント)すれば、また普通の生きた「用土(または培養土、培土)」になる。そんな当たり前のことを当たり前にやればいいのだ。畑でできて、プランターや鉢の土ではできないのだろうか。いや、そんなことはまったくない。前回も述べたように、園芸生産では無理があるとしても、家庭園芸なら十分できる。「廃」であろうとするものを蘇生するにはそれなりの技術や知識が要る。「技」は「生」を産み出す。それを可能たらしめる人為が「智慧」だ。そんなこと言ったら土が売れなくなるじゃないか、と業者はぼやくだろうか。それなら、土をよくする資材を、ちゃんとした指導付きで売ればいいだけの話ではないだろうか。 日本国中、住宅開発を推進するために山林を片っ端から切り拓いていた時代には土がいやというほど出てきた。これは国土交通省(旧 建設省)の施策の流れの中にある。安くしないと売れないから、とにかく量を売る。売れるためには捨てさせる。でも、今は赤玉土(そんなにほめちぎるような土とは思えないが)さえかんたんには手に入らない。明らかに時代が違ってきている。「廃」はシンボリックに高度経済成長期やバブル期のような消費優先の意味を含んでいる。園芸は10兆円産業ともいわれるが、「園芸廃土」をやめるからといってどれだけ打撃を受けるというのだろうか。微々たるものだ。損失を上回るような「智慧」はないというのか。 本題にもどる。使用済み園芸用土は、以下の点で植物の生長に不適切になっていることが多い。
これに加えたいのは、化学農薬などが残留する点だ。植物にあまり影響しないものが農薬として認可されており、多くは分解するとはいうものの、浸透性とか移行性と呼ばれる農薬はやはり残留性がかなり高く、人間を含めた他の生物にも好ましくない。根から吸わせて効果と持続性を高める殺虫剤などは特に、作るのも使うのもやれば? と言いたい。臭いし、野菜・ハーブには使えないし、その程度の便利さなら家庭園芸には必要ないと断言する。 結論としては、これらの問題を改善できる適切な材料と方法で処置をとれば土は使えるようになるということである。 ここで、上に挙げた5点のうち、1. について、若干、注釈を加えたい。園芸をよく勉強したことのある方ならよく知っておられることだ。少し理科の世界になるが、大切なことなので……。 自然界の形あるものはすべて分解して小さい単位になっていく傾向がある。動植物の遺体も、岩石も、腐敗・発酵、風化して粉々になっていく。その最も小さい単位が「原子」とか「イオン」とかいう世界だ。「土」を知るためには、その一つ手前の「粒子」を考える必要がある。土の団粒構造とか単粒構造などといわれるうちの単粒子と、ほぼ考えていい。 動植物の遺体(つまり有機質)と岩石は、いずれも風化や微生物の力で粒子になり土になっていくが、ここには大きく2つの流れがある。そして、それらは大変大きな性質の違いを持っている。 (次回につづく) 2003.12.12 |
|
|
| Information about Horticulture, Garden, Agriculture, Plants, Organism, Life and Cosmos since 1997 |
|
Copyright Infogreen Ltd. All rights reserved. |