|
海藻粉末
■粉砕と選別
海藻粉末は、海岸べりに打ち上がった海藻や海中から採取した海藻の全草を天日乾燥または熱風乾燥し、粉砕したものです。農業や畜産飼料で使用する資材としては、ふるいにかけて片径で選別されたものが使用されます。 粉砕機でほぼ目的の細かさに粉砕された粉末は、完全に粒の大きさがそろっているわけではなく、よく砕けていないものや微細粉も含まれます。このため、ある程度の大きさにそろえるために、通常は目の粗い篩 (ふるい、メッシュ) から細かいものへと 1回〜数回、繰り返しふるい通され、選別されます。ふるい残った大きな片々は、再度粉砕機にかけられたり、製粉機ですりつぶして微粉末にされたりします。
 左の画像は、農園芸用の篩で土や粉末資材をふるい通して選別するときや、また、播種(はしゅ)のときに均一に覆土(ふくど)するときに用いられます。右画像は料理用の粉篩(こなふるい)で、小麦粉のたぐいに空気を含ませて均一にするなど目的は多少違うものですが、筆者はセントポーリアや多肉植物などの培養土を少量ずつ作る際、様々な資材の微細粉をふるい落とすのに使っています。海藻粉末に使用する選別機の多くもこのようなメッシュでふるい通す方式のもので、振動するメッシュのコンベアや、傾斜した振動メッシュなどに資材を落としながら通す方法、破砕後回転するメッシュを通すものなど、幾つかの方法があります。
粉末の粒の大きさは、通常、「#25」のようにシャープ記号と数字で表され「25メッシュ」と呼びます。これは1インチ(=25.4mm)あたりに篩の目が何個あるかを示します。#25の場合は、25.4mmに25個の目があるので、1マスの1片は1.016mm(対角線で約1.4mm)です。ワイヤーの太さもありますが、ほぼ1mm以下の粉はふるい落とされることになります。
 左の料理用粉篩の底部分は1インチあたり16個の目があるので、#16(16メッシュ)といえます。ステンレスワイヤーは0.2mmぐらいの細いものですから、これを差し引くと1.7mm前後以下の粒を通します。 右の農園芸用の篩は1インチあたり9個半の目があります。これは規格が異なるもので、(目が) 2mmの篩と呼ばれます(農園芸用ではこのほか5mm、6mmなどが使われます)。
 海藻の場合、一度#5(5メッシュ)程度の選別機にかけられ、ふるい落とされたものを、さらに細かい選別機にかけて微細粉を除去して製品とするものがあります。左の画像はその例です。約5mmの目を通るものが大小含まれ、微細粉はあまりありません。これに対し、右の画像は#20(20メッシュ)の選別機にかけた細かい製品です。
化粧品や海藻パックで用いられる海藻粉末は、小麦粉のような微粒子のもの(右画像)を利用しますが、これは上記のようにメッシュを通してふるい分けたものではなく、グラインダー(製粉機)ですりつぶしたり、風で飛ばして選別(これを「風ひ」といいます)したものを用います。規格としては#120などと呼ばれています。製品としては、改めて製粉機にかけることが多く、その分やや割高になります。
■海藻粉末の性質
乾燥と成分変化
海藻粉末は粉砕・選別の前にいったん乾燥させますが、乾燥の方法には天日乾燥や熱風乾燥があります。その際、紫外線や熱によって、アミノ酸や植物生長ホルモンなど、成分によっては一部分解し、失われていくものがあります。しかし、完全に消滅するわけではなく、いくらかは残留します。また、ごく微量で植物の生育に効果を示す成分もありますから、総体的には海藻の効果は認められます。世界の海岸地帯では、岸辺に打ち上がった海藻をそのまま土に入れたり、岩盤に積んだりすることもあるようですが、成分をすべて生かすにはこの方法がベストなのかもしれません。しかし、ある程度計画性が必要とされる農園芸では、多くの場合保存のきく乾燥粉末を使用するしか方法がありません。
保水性 海藻粉末はいわば乾物ですから吸水するとふくれあがり、数十倍の大きさになります。それは日常の台所などで見られるように、ワカメやコンブを水にもどすと大きくなる様から容易に想像できるでしょう。この性質は土壌中では「保水性」という利点として現れます。土壌中でふくれあがった海藻は微生物に分解されてしだいになくなっていきます。そのあとには空隙ができて空気と水分を含むことになり、植物の生育にプラスとなる土壌環境を作ります。
|