1.5)エコロジカル・ランドスケープへの道(5)

多目的なモンモリロナイト

岩石の構成鉱物に関する結晶学は17世紀に始まりましたが、粘土鉱物は、結晶であることが確認されたのが1916年、構造が明らかにされたのが1930年と、比較的最近のことです。

モンモリロナイトの名は産地、フランスのモンモリヨン地方に因んだものです(1847年産出)。しかし近年に至って、モンモリロナイトに類似した粘土鉱物が発見され、それらを同名で呼ぶ不便を避けるために、2対1型の水和性・膨潤性粘土、または、モンモリロナイトを含有する粘土鉱物をスメクタイト族と総称し、本来のモンモリロナイトを区別するようになりました。

モンモリロナイトを含む鉱物は、ベントナイトなどが年間数十万トン、主にアメリカから輸入されています。日本でもベントナイトや、これが風化した酸性白土が産出されます。これらは純度の低いもので、水分を加熱除去したり、硫酸処理して純度を高めるなどして、各方面で利用されています。

例えば、モンモリロナイトが顕色剤に触れると青色に呈色反応する性質を応用したものにノーカーボン紙があります。これには活性白土(スメクタイト粘土からモンモリロナイトを抽出したもの)の微粉末とカプセル詰めの顕色剤が塗布してあり、筆圧でカプセルを破って発色させます。
このほかベントナイトや酸性白土は、油脂の脱色、ガソリンや灯軽油の脱水、胃腸薬、軟膏の基剤、パップ剤、化粧品、鋳型、農薬の増量剤などに応用されています。近年では、高い純度が要求される活性白土は人工的に合成されることが多いようです。

土壌改良材としての粘土鉱物

粘土鉱物には、珪素4面体層とアルミニウム8面体層の関係から1対1型、2対1型、2対2型がありますが、これらのうち含水・膨潤性のあるスメクタイトやバーミキュライト等2対1型粘土が土壌改良に適しています。

土壌の酸度はリン酸の肥効と不可分で、中性~弱酸性で可溶性リン酸が最も多く存在します。したがって土壌中には酸度を適正環境に維持する物質が含まれる必要があります。それが腐植質とモンモリロナイトおよびスメクタイト族粘土で、特にモンモリロナイトはすぐれた機能を持っています。
同じ2対1型鉱物でも、バーミキュライトは陰電荷が強く、アンモニウムやカリウムを固定し、土壌中で無効にしてしまいます。

モンモリロナイトは水和性の高い結晶組織が重なってコロイド粒子を形成しています。このためバーミキュライトほど強い陰電荷を持たず、アンモニウムを吸着しても、固定することはありません。したがって土壌中のアンモニウイオンが少なくなったとき、容易に土壌に還元して、植物に供給します。

モンモリロナイトは、いわばチッソやリン酸を「生かす」粘土鉱物であるわけです。
前述のように、日本でも酸性白土やベントナイトは産出されていますが、秋田県八沢木産の珪酸塩白土(ソフト・シリカ株式会社)はきわめて純度の高い2対1型モンモリロナイトで、置換性塩基が豊富に含まれていることが分かっています。また純度が高く軟質であるため加熱脱水や硫酸処理を必要とせず、天日乾燥だけで実用となります。これほど高純度のものは世界的にも異例であり、自然界の奇跡と言ってもよいでしょう。前号で秋田の八沢木地方でしか産出されないと述べたのは、この高純度の、本来のモンモリロナイトのことです。

(つづく)

サイト掲載:2000.5.15




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