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1.8)モンモリロナイトの効用(2)土壌の団粒化 土は捨てるものではない
よく質問されることに、使用済み用土の捨て場所や再生処理法などの問題があります。最近こそ再生土の話題が取り上げられるようになりました。しかし、いくら園芸誌などで通り一遍の方法論だけを説いたとしても、うまくいかない、面倒だ、という理由で、つい「捨てる」方へ気が向いてしまいがちなのが実情です。じつはそれこそが底の浅さ、認識のなさを物語る以外の何ものでもないように思います。園芸に長年親しんで来られた方々には、土を生かす方法を経験の中で見つけ、さり気なく実行しておられる方はたくさんいらっしゃいます。
「古土」という言い方がありますが、だいたいその表現が適切かどうか、疑問を感じます。本来、土は、様々な物質が分解・変化して姿を変え、悠久の昔から大自然、あるいは宇宙を流転してきたものであり、その中から万物は生まれ、また、そこへ万物は返っていきます。いつから新しくなり、いつから古くなったのか、私には説明することができません。
園芸手法的には、確かに容器栽培などでいったん使用した土は、植物の生育に適さない状態になります。それは、植物が育たなくなるまで雑菌や科学物質によって変化、ときには汚染させられ、また、養分を蓄える能力を失った姿を単にさすのではないでしょうか。人間が恩恵を受けるために人為的に疲労させた土は、人為的な方法でコンディショニングしてやることで能力を回復します。これを無視することは独善的です。自然の流れを途絶えさせる一方で、園芸を通して自然に触れることを主張する姿は、どこか滑稽なものにさえ見えます。
植物には、自分が生息しようとする場所を、自分で改善する能力があります。その力をあるがままに生かせば、われわれが手を下さなければならない領分は少なくなります。
土が生き物であり、植物と適切な接し方をすれば土も生き続けてくれるものであり、また、われわれの生命が土によって支えられていることを理解すれば、捨てるという発想は全く出てこないはずです。
耕してはならない土壌
土は耕すもの……これは最も当然のごとく考えられていることでしょう。土を耕すのはもちろん植物が育ちやすい土づくりをするためですが、能動的物理的な「耕す」という行為にはどこか「労苦」というイメージがつきまといます。私は、耕すことに汗するのを美徳と考え、それを園芸に持ち込むことで園芸を正当化するつもりは毛頭ありません。それは例えばいろいろな意味でいろいろな方々に失礼なことでしょう。
私は、私自身が園芸をやる過程で、「耕さねばならない」から「植物のために耕してはならない土」ということを考えるようになりました。それを少し科学的に説明します。
「耕す」こと、つまり「耕耘」は「土壌の粒状化と乾燥による人為的団粒化促進法」で、土壌を掘り起こして砕き、乾燥させ、団粒化して孔隙量(隙間)を増やすことをいいます。
土壌学では、土壌の土粒の部分を固相といいます。固相は無機物と有機物(腐植質)から成り立っています。その隙間が孔隙であり、孔隙の液体部分を液相、気体部分を気相といいます。適度な孔隙量を持った土壌は保水性と通気性にすぐれ、根の生長の好適条件となります。畑土壌ではおおよそ固相50%、液相25%、気相25%です。もちろん液相と気相の比率は気象条件などによって変動し、雨後や灌水後は液相の占める比率が高くなります。また、孔隙量は粘土の少ない砂質土壌では少なく、腐植質を含む土壌ほど多くなります。
単粒子のみの土壌は、排水、保水、通気が悪く、水や風による浸食を受けやすくなります。単粒構造の土壌では植物は生育困難または不能となります。植物の根は、土壌空気の酸素が10%以下で生長が悪くなり、5%以下で生長が止まり、二酸化炭素量が10%以上になると死ぬとされます。
自然の状態では、土は単粒化と団粒化をくり返しています。
団粒化には2つの方向性があります。ひとつは大きな塊が適当な大きさに分かれることで、耕耘はその人為的促進法といえます。もうひとつは単粒子の結合で、粘土粒子が関係します。園芸誌等ではフルイでふるって腐植質を鋤き込むことが紹介されており、それはそれで確かに合理的な方法ですが、ふるい落とされた微塵を捨てる考え方がよいとは思えません。それはあくまでも選別であって耕耘とは意味が異なり、単粒子の結合という土壌団粒化の側面を切り捨てたものなのです。
土壌が団粒構造を生成する要因はいくつかあり、自然の土壌生態系の中にも大切な要素が存在しています。これは多少とも園芸に携わる者であれば、土壌に関しては最低認識しておくべきことでしょう。
団粒構造は土壌のコンシステンシーにも関与します。塑性指数の高い土壌は排水性と保水性にすぐれています。結論を先に言えば、塑性指数の高い土壌を耕すと団粒構造が崩れて物理性能が劣化します。したがって植物の生育に適した土は耕してはならないことになります。つまりよい土を作っておけば園芸作業の手間が少なくなるということです。
(つづく)
サイト掲載:2000.7.7
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