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1.11)土壌生物たち(1)代表的な土壌動物 虫が好かない奴ら?
花は好きだけど虫は嫌い、という方はよくいらっしゃるようです。でもそれは園芸をやるからには、いささか虫のいい話かもしれません。とはいえ、通り過ごす問題ではないので、土壌と関わりが深いという話をします。
かく言う私も、どんな場合でも虫が平気というわけではありません。
ある夏の夜、山の一部を切り開いて建てたマンションを初めて訪ねた折に、明りに照らし出された2階の通路の天井、壁、ドア、手すり、物陰などあちこちに、15センチ級のオオムカデがへばりついているという光景に遭遇したことがあります。そのときはさすがに足が竦んでしまいました。
ムカデにはトビズムカデのように強い毒を持ち、かなり攻撃的で、人間にも危害を加える種類もあります。しかしこれもゴキブリなどを捕獲するために家の中に入ってくるらしく、就寝中に噛まれるのは運が悪いからということになってしまいます。
日本で100種以上といわれるムカデの多くは土壌や地表に住んでおり、小昆虫などを食べて生きています。土壌に有益なものとしてはジムカデが代表的です。ジムカデは体長が5センチに満たず、全体にほっそりしており、活発に土中を歩き回ります。土を掘り返したときなど、驚いてチョロチョロと土の中にもぐっていくのをみかけます。これはけっしてオオムカデなどの子供ではなく、家の中に入ってくることもほとんどありません。
土壌学上は、園農芸に関わりの深い生物を「土壌生物」といい、これを「土壌動物」と「土壌微生物」とに分けて考えています。
土壌動物
土壌動物のうち、体長が2ミリ以上のものを「大形動物」といいます。または体長10ミリ以上をいう場合もあります。ミミズ、アリ、ヤスデ、ムカデなどが代表的です。
ヤスデはムカデに似ていますが、体が円筒形です。また、ムカデは脚が1節に1対であるのに対し、ヤスデは2対あり、そのため動作も緩慢です。腐食質を食べており、人間や植物に危害を与えることはありません。指で突くと丸くなります。庭土や鉢の下などでよく見かけるのは体長が数センチのものですが、2ミリから25センチに及ぶものまで、世界では1万種以上あるようです。
次に、体長が0.2~2ミリのものを「中形動物」といいます。または、10ミリぐらいまでのものをいうこともあります。トビムシ、ダニ、線虫などがこれに相当します。
トビムシというのは、聞きなれない名前かもしれません。体長1~3ミリ程度で、湿った枯葉の裏側に小さい斑点のようなものがついていて、刺激を与えるとピンと跳ねるものがそうです。落ち葉や腐食質を餌にして、分解しています。また、雨後の水たまりに大群をなすものや海洋性のものもいます。トビムシは、ときどき幼苗などを食害することもあるようです。でも、腐植質が土とよく混ざり、水はけがよく、風通しのよい環境では、被害らしいものはあまり見られません。
ダニは草食性、肉食性、雑食性が地球上の至るところに生息しており、土壌と関わりの深いものが多く存在します。その生態はまだ不明の部分もあるようです。
線虫というとネマトーダという病気を思い浮かべる方は多いでしょう。しかし、土の中にはさまざまな線虫類が生息しています。食性によって、動植物の遺体を食べる腐生性、他の線虫や小さなミミズを食べる捕食性、植物の根などに寄生する寄生性があります。病気の原因になるものは寄生性の線虫ですが、その数は少なく、前二者の、自由生活をするものが圧倒的に多いのです。線虫は1ミリ以下から大きくても数ミリ程度なので、肉眼で見分けることはほとんどできません。
最後に、0.2ミリ以下の、おもに単細胞動物を「小形動物」といいます。肉眼では見えません。アメーバー、繊毛虫、鞭毛虫などの原生生物がこれに相当します。これらは土壌中の水の部分で生息しており、植物の遺体や細菌、菌類、藻類などを食べています。
これらの土壌動物は地表部分の植物遺体を地中深部まで運び、それを粉砕して微生物が分解しやすい形にします。排泄物がそのまま土壌の団粒を形成するものもあります。また彼らは地層下部の未成熟な土を地表に運搬します。その通り道は通気や排水に役立ちます。
次回は「土壌微生物」の話です。
(つづく)
サイト掲載:2000.7.7
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