キアゲハのいのちに我々自身が見える。生き物であることに変わりはない。
もうひとつ気づいたことがある。このキアゲハは糸を吐いて体を固定していた。サナギになるときの形だ。通常は、冬、気温が一定以下になると、越冬のためにこの形になる。これは寒さというより、幼虫での生命の限界に反応してのことではないだろうか。今回の場合は、毒物によって生命の危険を感じ、越冬と同じ行動をとったのかもしれない。もしそうだとすると、体の萎縮はサナギへの変態のプロセスだったことも考えられる。チョウをはじめ、生物のなかには、生きるために状況に応じて身体を変化させることのできる高度な能力を持つものが多い。もちろん人間にこの能力はない。しかし、このキアゲハは越冬と同じ「変態」という方法では死を克服できなかった。つまり、予測もつかない物質のために自らの能力は無効化され、生きる道が封印されてしまったということだ。
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